こどもの生涯年収をあげる非認知能力に重要な要素とは?

こんにちは、みさです。

少し前に子育て関連のスペースで気になるワード「非認知能力」を聞いたので、深堀のために本を読んでみています。

教育界では最近話題のワードみたいで学力だけでなく生涯年収も上げることができる能力だそうですが、幸福感や自分で人生を切り拓くという点で非常に重要な能力だと感じました。

それがないと幸せになれないわけではないと私は考えるんですが、非認知能力のうち「やり抜く力 (グリッド) 」というのは自己肯定感に密接にかかわるので、幸福感は感じやすいのかなあと思うところです。

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非認知能力ってなに?

非認知能力の対局にあるのが、IQや国語や数学なんかの測定できる能力「認知能力」です。

それに対して非認知能力、「やり抜く力(グリッド)」「好奇心」「自立心」「楽観的なものの見方」「誠実さ」といったプラスに働く気質は測定することが難しいので非認知能力と呼ばれています。

漢字で非認知能力って書かれるとなんか難しい感じがしますけど、要は測るのが難しい能力という意味なんですね。

私たちは子どもに何が出来るのか

この非認知能力を「成功する子 失敗する子」という本で有名にしたポール・タフという人の本です。

これを読んでみたので、面白かった点を簡単にまとめられたらなと思います。

この本は貧しい地域の子供たちの学力や生涯年収を伸ばし、よりよい暮らしができるようにするにはどうしたらよいか?というテーマの本です。

学力については貧困地域や家庭に逆境を抱えているこどもたちは学力も素行も悪い場合が多いが、そもそも勉強に集中する土台が出来ていないのでそこを整えてあげることで学力が上がるという内容になります。

なので、すでに勉強に集中できる土台のある子が勉強できるようになるかどうかや、収入が上がるかは言及されていませんでした。

ただ、非認知能力自体が幸福感を感じたりパートナーと安定した関係を築いたり、安定した生活を送るファクターとなる能力ではあるので、それがどんな要素なのかということを知る意味では読んでよかったかなと思います。

学力は高いのに豊かになれない人たち

アメリカの高校修了時同等資格(GED)に関してある研究がなされました。

これは高校を中退したものが高校卒業と同等の資格を得られる手段の一つです。

日本にも高卒認定資格はありますね。

1950年代の導入以降急速に広まり、当時は卒業生の約20%がGEDテストの合格者だったようです。(現在は約14%)

実際GEDテストの合格者と高校卒業者でIQと密接な関係にある学力テストの点数に差はありません。

しかし22歳の時点で4年制の大学に在学、あるいはなんらかの高等教育を修了した者はGED取得者では3%しかいなかったそうです。これに対し、高校卒業者は46%。

そして年収・失業率・離婚率・違法ドラッグなどの使用率ではGED取得者は中退者と似たような結果がでたそうです。

日本では高卒認定者の50%程度が希望通りの進学をしているそうなので、ここまで差が大きいのはアメリカの方が貧富の差が大きかったり人種差別などの問題が根深いなど別の問題がありそうですが…

高等学校卒業程度認定試験合格者の進路状況に関する調査の結果について:文部科学省

ただ、この研究によって学力テストやIQが高くても豊かになれない人という1群が発見されてしまったのですね。

幼少期の早期教育で得られるもの

反対に1960年代に低所得かつIQの低い親の3-4歳の子供を「ペリー・プレスクール」という就学前プログラムに参加させるという実験がありました。

実際は早期の幼児教育をすることでIQやテストのスコアが継続的に上がることが期待されていましたが、実際はそうならなかった。

プレスクールに通う間とその1-2年は目に見えてテストの成績が良いが、その後は対照群のスコアとかわらなくなるそうです。

つまり、早期教育したからといって地頭がよくなるわけじゃないんですね。

ただし、知能指数以外の部分、高校卒業立、27歳時点での雇用率、40歳時点で25000ドル以上の年収を得ている割合が高く、逮捕歴や生活保護の受給歴がある割合も低かったということでした。

ペリー・プレスクールの研究、なかでも生活態度※1と社会性の発達※2を評価したものを調べた結果、こうした恩恵の2/3は非認知的な要素(好奇心・自制心・社会性)によって得られたと結論付けたようです。

※1:どのくらい頻繁に罵り言葉を吐くか、嘘をつくか、盗むか、欠席や遅刻をするか
※2:クラスメートや教員との人間関係にどの程度関心があるか

幼児期のストレス

親やまわりの大人の対応からその場所が危険でいつでも逃げられるようにするべき場所なのか、安心して過ごすことが出来て長期的な計画を実行でき退社るような場所なのかを区別するために、逆境を経験すると体内のストレス反応のネットワークの発達に強い影響を及ぼすそうです。

短期的には危険な場所でも生き延びられるよう警戒を怠らず、すぐに逃げることが出来ます。

しかし、それが長期にわたって続くと免疫系が上手く働かなくなり、体重増加の一因となる代謝の変化が起こり、さまざまな病気を引き起こす原因となります。

影響度に差はありますが、これは大人と同じですね。

また、幼い時期に高レベルのストレスは脳の前頭前野の発達を阻害し、感情や認知面での制御能力が育つのを妨げます。

感情面で見ると、失望や怒りへの反応を抑えるのが難しくなります。
小さな挫折が圧倒的な敗北に感じられるようになり、ほんの少し軽く扱われただけで深刻な対立関係に陥り、学校生活では自滅的な行動パターンを引き起こし、けんかや口答えをする、目立たないものとしては、大人から差し伸べられた手を拒むようになります。

認知面で見ると、実行機能と言われる一連の能力の発達が阻害されます。

作業記憶・自己調整・認識の柔軟性など。これが発達の為の神経の基盤となり、粘り強さやレジリエンス(打たれ強さ・メンタルの回復の速さ)の支えとなります。

実行機能が上手く働かないと複雑な指示に集中することが出来ないので、この状態で学校生活を円滑に送るのも、自己肯定感を持つのも難しいですよね。

子供は怒ったり泣いたりしている時も学んでいる

子どもは上手くいかないことや思い通りにならないことがあると耐えられず、すぐに泣いたり怒ったりしてしまいますよね。

特に2歳時頃に起きると言うイヤイヤ期は脳の前頭前野が未熟なため目先の欲求を抑えることができません。

これは決して親を困らせようとしているわけではなく、未熟な前頭前野をコントロールする訓練をしているんですね。

その証拠にイヤイヤ期を経た子供は前頭前野が働き、目先の欲求に耐えられるようになります。

でも、このイヤイヤ期にとにかく怒って我慢させようとしても、脳の抑制機能は発達しません。

ダメと怒られたとき、子どもの脳で働くのは恐怖や不安をつかさどる偏桃体です。
恐怖で一時的に欲求が抑え込まれますが、前頭前野の抑制機能は働きません

子供が自分から我慢するように促すのが抑制機能の発達にとって大切です。

子どもがなぜ我慢するのかの理由を納得し、自ら我慢する体験を重ねることで脳の抑制機能が育っていきます。

そのためにはルールを作って出来たら褒める、を繰り返すのがよいようです。

子どもが瞬間的なストレスに対処するのを助け、怯えたりかんしゃくを起こしたあとに落ち着きを取り戻すのを手伝うことが出来るとその後の子供のストレス処理能力に大いにプラスの影響を与えるそうです。

アタッチメント(愛着)

保育の言葉でアタッチメント(愛着)という言葉があります。
ボンディング(絆)という言葉で語られることもあります。

子供にスキンシップをしたり、共感的に愛情をもって接することで、「安全基地」として特定の大人との関係を築くことが出来ます。

「愛着形成」の完成は2歳〜3歳ごろと言われています。
※自閉症児は、愛着形成しにくく、年齢より遅れて完成すると言われています。

安定したアタッチメントが形成された子どもたちは何があっても自分の味方でいてくれる安全基地があることで、外の世界でも勇気をもってチャレンジすることが出来るようになります。

養育者がうつ状態であったり養育者の死別などの体験により安定したアタッチメントが形成されないと、以下のような特徴が現れます。

・適切な反応ができない。
・過敏に警戒する。人との関りを嫌がる。
・自尊心がなく、強い怒りを出す人や必要以上に落ち込む。
・相手が望む“いい子”になる。頑張りすぎる。
・他者との距離感が理解できず、近すぎてしまう。
・逆に知らない人でも、警戒心なくどんどん話してしまう。

ちょうど前項の幼児期に高レベルのストレスを受けた場合の精神状態にすごく似ているなと思いました。

反対に1歳の時点で母親との間に安定したアタッチメントが見られた子供たちは幼稚園では注意深く物事に集中することが出来、ミドル・スクールでは好奇心とレジリエンス(打たれ強さ・メンタルの回復の速さ)を示し、高校を卒業できる確率が著しく高かったそうです。

ちなみに愛着の相手は親である必要はありません。

幼少期に親ができる手助け

驚いたことに親へのどんな介入が子供に良い影響を与えるか調べた実験はいくつかあれど、子供の認知能力(語彙・読解能力)をターゲットにした介入について有効だと言うエビデンスはないそうです。

恐らく言葉を覚えようと専念している間だけでなく普段の親の会話などから言葉を吸収するため、親自身の語彙が少なければ効果はないのだろうということでした。

この点は幼少期の早期教育をしても地頭はよくならないという結果もあわせて、乳幼児期は勉強を教える期間ではなく子供が安心できる環境や関係を築き、大きくなった際に勉強に集中できるメンタルと自制心を学ぶ手助けをしてあげるのが良いのかなと思いました。

また、安定したアタッチメントを形成するには親自身の余裕が大事になりますので、知識を覚えればすむということでもないそうです。

1人で解決しようとせず、パートナーや親に頼れる状況を作ったり、外部サービスなどを利用するなど親自身の余裕がつくれたらよいとは思うのですが…状況は人によるので難しいですね…。

本当に周りが面倒な人ばかりで頼れなくて、ご本人体力あると1人でやりきっちゃう人とかもいるだろうしなあ…(;-;)
地域の子育てサービスって豊富にあったりするので、利用できるものは利用して出来るだけ楽して欲しいという思いはありますが…。

あとは気にしすぎないことですね。

実際やると初めてのことや大変なことばかりで難しいと思うのですが、この方針が頭に入っているだけでもだだをこねられても「親を困らせようとしている」ではなく「自制心を学ぼうとしている」と思えたり、行動も変わったり、後から反省出来たり、これでいいのかな?という不安が少なくなる点はあるんじゃないかなと思いました。

何歳でも使える非認知能力の上げ方

この本は貧困層の子供たちをいかにサポートするかがテーマなので、幼少期を逃した場合についても言及されています。

モチベーションの低い生徒や貧困層の生徒については罰やご褒美を用意しても効果は薄いそうです。

これは納得の結果ですよね。
そもそも勉強に集中できる精神状態でないことが原因なのですから。

幼少期の機会を逃したと思われる年齢の子でも非認知能力をあげることが出来るタイプの教師はいるそうです。
それも一部の子の非認知能力があがるわけではなく、クラス全体の非認知能力が上がるそうです。

そういったタイプの教師は一体何をしているのか。
非認知能力という言葉自体やその大切さを説くようなことはしないそうです。

「外発的動機付け」をする際に、その行動自体が楽しいという「内発的動機付け」のような状況を作るのがうまい教師ということになります。

内発的動機付けには3つの条件があります。

①自立性:「生徒に自分で選んで、自分の意思でやっているのだという実感」を持たせること

②有能感:「やり遂げることは出来るが、現在の能力をほんの少し超えるタスク」を与えられるとき

③関係性(人との繋がり):教師に好感をもたれ、価値を認められ、尊重されていると感じるとき

これは関係性の教師を同僚や上司に置き換えたら、大人でも同じことが言えるのではないでしょうか。

また、所属先との関係性や、勉強自体の意義、出来るというイメージがファクターとなるという話もありました。

そして非認知能力は他の学習スキルと違い、非認知スキルは心の状態のような環境に左右される土台なのではないかと言っています。

実際粘り強さなどの非認知能力は個々の差はあれど環境によって左右される面は大きいように思いますし、環境のなかでもこの3つのファクターは強く関連しているように思いました。

人との関係性について変えるのは容易ではありませんが1つ、関係性を自分から作ることについて語られた書籍を紹介します。

人が話を聞くかどうかは誰が話すかで決まっている。

では話を聞きたくなる人とは?

でも相手が自分の状況を知らなければ理解してもらえないこともある。では普段から自分の状況を知ってもらうには?など面白い切り口が書かれた本です。

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫) | 山田ズーニー | 言語学 | Kindleストア | Amazon
Amazonで山田ズーニーのあなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。

非認知能力を持続的な形で上げる方法は本書には載っていませんでした。

限度はあるかもしれませんが大人になってから変わる人というのも稀ではありますが、います。

結びには知的な課題に粘り強く取り組み苦労しながらやり遂げる経験は、生徒たちに幼少期の温かいやり取りと同程度の深度で影響を与えるとあります。

そして「有能感」と「自立性」というふたつの感情を生み出すと。

まとめ

非認知能力自体にいくつかの性質があるのに、それを定義づけしていないのでは習得のポイントも見極められないので結構問題かなあと思うところではあります…。

読みやすく簡単に書かれている方の本らしいので仕方ないのかもしれませんが~(・-・;)

まとめるにあたって保育の分野を再確認していると別の言葉で同じことを説明してあったりして、重要な要素はすでに分かっていたのかなと思ったりもしました。

ただ、実験内容と結果というエビデンスに基づいて推論が展開されるのはわかりやすいですし、効果があることが何か?よりも、何が効果がないのかがわかるのが良かったです。

幼少期のファクターをまとめると、養育者との関係と子供の発達には大きな関係があること、この本に書いてあったことではないのですが、個人的には自制心のトレーニングも同じくらい大事なファクターだと感じています。

この本は貧困層の子供を救うことをテーマにしているので、環境が整った子供がさらに非認知能力を伸ばす方法について書いてあるわけではありません。

それでも私は高いストレスを受けた子供たちを改善する方法を知ることは、大きな失敗や間違いをしないための道しるべになるのではないかと思うのでした。

参考文献

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか | ポール タフ", "Paul Tough, 高山 真由美 |本 | 通販 | Amazon
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